「墓じまいをしたいけど、取り出した遺骨はどうすればいいの?」――これは墓じまいを検討する多くの方が直面する悩みです。
実は、墓じまい後の遺骨の供養方法には5つの選択肢があり、費用も数千円から200万円超までさまざまです。
この記事では、永代供養墓・樹木葬・納骨堂・海洋散骨・手元供養の5つの方法を、費用相場・メリット・デメリットで徹底比較します。ご家族にとって最適な供養方法を見つける参考にしてください。
墓じまい後の遺骨、放置は違法?
墓じまいで取り出した遺骨は、必ず適切な方法で供養する必要があります。なぜなら、遺骨の取り扱いには法律上の制限があるからです。
- 墓地以外への埋葬は禁止:墓地埋葬法(墓地、埋葬等に関する法律)により、墓地以外の場所に遺骨を埋葬することは違法です。自宅の庭に埋めるといった行為はできません。
- 遺骨の放置・廃棄は犯罪:遺骨を放置したり、ごみとして廃棄すると、遺骨遺棄罪(刑法190条)に問われる可能性があります。
- 必ず供養先を決めてから墓じまいを:墓じまいの手続きを進める際には、改葬許可申請書に「新しい受入先」を記載する必要があります。つまり、遺骨の行き先を決めることは墓じまいの必須ステップなのです。
「とりあえず墓じまいだけして、遺骨は後で考えよう」は通用しません。まずは供養方法の選択肢を知ることから始めましょう。
墓じまい後の遺骨の供養方法5選【費用比較表付き】
墓じまい後の遺骨の供養方法は、大きく分けて5つあります。まずは費用相場と特徴を一覧で比較してみましょう。
| 供養方法 | 費用相場 | 年間管理費 | お墓参り | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| 永代供養墓 | 5〜150万円 | 0〜1万円 | 可 | 従来に近い形で供養したい |
| 樹木葬 | 5〜100万円 | 0〜1万円 | 可 | 自然に還りたい |
| 納骨堂 | 10〜200万円 | 1〜2万円 | 可(屋内) | 都心でアクセスしやすい場所がいい |
| 海洋散骨 | 2.5〜30万円 | なし | 不可 | 費用を抑えたい・自然に還りたい・後の管理不要がいい |
| 手元供養 | 数千円〜30万円 | なし | 自宅 | そばに置いておきたい |
それぞれの供養方法について、詳しく解説していきます。
1. 永代供養墓|管理不要で従来に近い供養ができる
永代供養墓とは、寺院や霊園が遺族に代わって管理・供養を続けてくれるお墓です。後継ぎがいない方や、子どもに負担をかけたくない方に選ばれています。
費用の目安:
- 合祀墓(ごうしぼ):5〜30万円 ― 他の方の遺骨と一緒に埋葬されるため、最も費用を抑えられます
- 個別墓:50〜150万円 ― 一定期間(13年・33年など)は個別に安置され、期間終了後に合祀されるケースが一般的です
メリット:
- 管理の手間がかからない
- 従来のお墓に近い形でお参りできる
- 宗旨宗派不問の施設が多い
デメリット:
- 合祀後は遺骨を取り出すことができない
- 個別墓でも永久ではなく、いずれ合祀される場合が多い
なお、個別墓を建てる場合は石材店によって費用に大きな差が出るため、複数社から見積もりを取って比較することが重要です。
2. 樹木葬|自然に還れる近年人気の供養方法
樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とする埋葬方法です。近年、新規にお墓を購入する方の約半数が樹木葬を選ぶほど人気が急上昇しています。
費用の目安:
- 合祀型:5〜30万円
- 個別区画型:30〜100万円
メリット:
- 自然に囲まれた環境で眠れる
- 従来のお墓より費用が比較的安い
- 宗教・宗派を問わない施設が多い
デメリット:
- 個別期間の終了後は合祀となるケースが多い
- 郊外にある施設が多く、アクセスが不便な場合がある
3. 納骨堂|天候に左右されず都心でお参りできる
納骨堂は、屋内の施設で遺骨を安置する方法です。駅近など都心に立地する施設も多く、アクセスの良さが魅力です。
費用の目安(タイプ別):
- ロッカー式:30〜80万円
- 自動搬送式:70〜100万円 ― ICカードをかざすと遺骨が参拝スペースに運ばれてくる最新式
- 仏壇式:100〜200万円 ― 上段に仏壇、下段に遺骨を安置するタイプ
メリット:
- 天候に左右されずお参りできる
- 駅から近い施設が多くアクセス良好
- セキュリティが整っている
デメリット:
- 年間管理費(1〜2万円)が継続的にかかる
- 運営法人が破綻した場合の施設閉鎖リスクがある
- 収容スペースに限りがある
4. 海洋散骨|費用を抑えて自然に還れる注目の供養方法
海洋散骨は、遺骨を2mm以下のパウダー状に粉骨し、海に撒く供養方法です。「自然に還りたい」「子どもに管理の負担を残したくない」という方を中心に需要が急増しており、ここ5年で利用者数は8.3倍に増えています。
海洋散骨は合法?
「海に遺骨を撒いていいの?」と不安に思われる方も多いでしょう。厚生労働省が2021年に公表したガイドラインでは、「葬送の目的で、節度をもって行う限り」散骨は法律に違反しないとされています。つまり、適切な方法で行えば合法です。
3つのプランと費用:
- 代行散骨:2.5〜5万円 ― 業者にすべてを委託するプラン。最も費用を抑えられます
- 合同散骨:10〜20万円 ― 複数の家族が一緒に乗船して散骨するプラン
- 貸切散骨(チャーター散骨):15〜30万円 ― ご家族だけで船を貸し切って散骨するプラン。故人とのお別れの時間をゆっくり過ごせます
メリット:
- 費用が5つの方法の中で最も安い部類(代行散骨なら2.5万円から)
- 年間管理費が一切不要
- 子孫への管理負担がゼロ
- 大自然に還れるという精神的な安心感
デメリット:
- 物理的なお墓参りの場所がなくなる
- ご家族全員の理解・同意が必要
- 一度海に撒いた遺骨は取り戻せない
「分骨」で不安を解消する方法も
「全部撒いてしまうのは寂しい」という方には、遺骨の一部だけを散骨し、残りを手元供養にする「分骨」という方法もあります。海にも還し、手元にも残すことで、ご家族それぞれの気持ちに応えることができます。
業者選びの3つのポイント:
- 日本海洋散骨協会の加盟事業者か:業界のガイドラインを遵守している証です
- 粉骨の対応:散骨には2mm以下への粉骨が必須。自社で対応しているか確認しましょう
- 料金の明瞭さ:追加料金の有無など、総額がわかりやすいかをチェック
海洋散骨を検討される方は、まず専門業者に相談してみることをおすすめします。費用やプランの詳細、当日の流れなど、疑問に丁寧に答えてくれる業者を選ぶことが大切です。
5. 手元供養|最も身近で故人を感じられる方法
手元供養は、遺骨の全部または一部を自宅で保管し、身近に供養する方法です。近年はさまざまなグッズが登場しており、選択肢が広がっています。
手元供養の種類と費用:
- ミニ骨壷:数千円〜5万円 ― コンパクトなデザインでインテリアにも馴染みます
- ガラス製の小さなお墓:約10万円前後 ― 自宅のリビングに置けるインテリア性の高いお墓。従来のお墓のように手を合わせる場所を自宅に持てます
- 遺骨ペンダント:1〜10万円 ― 遺骨の一部をペンダントに納めて身につけられます
- 遺骨ダイヤモンド:20〜30万円 ― 遺骨の炭素からダイヤモンドを生成する方法
なかでも注目されているのが、ガラス製の手元供養用のお墓「小さなお墓KOBO」です。自宅に置けるコンパクトなサイズながら、美しいガラス製のデザインでインテリアにも自然に馴染みます。「お墓参りの場所がなくなるのは寂しい」という方でも、自宅で毎日手を合わせることができます。
メリット:
- 最も身近に故人を感じながら供養できる
- 費用が比較的安い
- 年間管理費がかからない
デメリット:
- 自分が亡くなった後、遺骨をどうするか決めておく必要がある
- 家族や同居人の理解が必要
複数の方法を組み合わせる「分骨」という選択
「ひとつの方法に決めきれない」「家族それぞれの希望が違う」――そんなときは、遺骨を分けて複数の方法で供養する「分骨」を検討してみてはいかがでしょうか。
よくある分骨の組み合わせ:
- 永代供養墓+手元供養:きちんとしたお墓に納骨しつつ、一部を自宅に残す
- 海洋散骨+手元供養:自然に還しつつ、手元にも故人の存在を感じられる
- 樹木葬+遺骨ペンダント:お参りの場所を確保しつつ、いつも身につけておける
分骨の注意点:
- 分骨するには「分骨証明書」が必要です。墓じまい時に管理者に発行を依頼しましょう
- 分骨証明書がないと、新しい納骨先で受け入れを拒否される場合があります
分骨を活用すれば、家族それぞれの希望に応えながら、納得のいく供養の形を見つけることができます。
供養方法を選ぶときの3つのポイント
5つの供養方法の中から最適なものを選ぶために、以下の3つの視点で検討することをおすすめします。
1. 費用はトータルコストで比較する
初期費用だけでなく、年間管理費を含めたトータルコストで比較しましょう。例えば、初期費用が安い納骨堂でも、年間管理費が1〜2万円かかれば、30年で30〜60万円の追加負担になります。一方、海洋散骨や手元供養は初期費用のみで済みます。
2. 家族全員の意向を確認する
供養方法は、家族全員で話し合って決めることが大切です。「お墓参りの場所がほしい」「自然に還してあげたい」など、家族それぞれに思いがあります。全員が納得できる方法を見つけるために、早い段階から話し合いを始めましょう。
3. 将来の管理負担を考える
「自分たちの代はよくても、子や孫の世代に負担を残さないか」という視点も重要です。年間管理費がかかる方法や、将来的にまた墓じまいが必要になる可能性がある方法は、次世代の負担になることがあります。
まとめ|墓じまい後の遺骨は家族で話し合って決めよう
墓じまい後の遺骨の供養方法は、主に以下の5つです。
- 永代供養墓:5〜150万円/従来に近い形で供養できる
- 樹木葬:5〜100万円/自然志向の方に人気
- 納骨堂:10〜200万円/都心でお参りしやすい
- 海洋散骨:2.5〜30万円/費用を抑えたい・管理不要を求める方に
- 手元供養:数千円〜30万円/最も身近に供養できる
費用を抑えたい方には、海洋散骨(代行散骨で2.5万円〜)や合祀型の永代供養墓(5万円〜)がおすすめです。
お墓参りの場所を残したい方には、樹木葬や納骨堂が適しています。
供養方法に「正解」はありません。大切なのは、ご家族でよく話し合い、全員が納得できる方法を選ぶことです。この記事が、後悔のない選択をするための一助となれば幸いです。
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