墓じまいを行う際、墓石を撤去する前に必ず実施するのが「閉眼供養(へいがんくよう)」です。「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれ、墓石に宿った故人の魂を抜くための大切な儀式です。
本記事では、閉眼供養の意味と目的から、具体的な流れ、お布施の相場と渡し方、当日の準備物まで、実施に必要な情報を網羅的に解説します。
閉眼供養(魂抜き)とは?
閉眼供養の意味と目的
閉眼供養とは、お墓や仏壇に宿っているとされる故人の魂を抜く仏教儀式です。お墓を建てる際には「開眼供養(魂入れ)」を行い、墓石に魂を込めます。閉眼供養はその逆で、墓石を「ただの石」に戻すための儀式です。
仏教の考えでは、開眼供養を行った墓石には故人の魂が宿っています。魂が宿ったまま墓石を解体・撤去することは、故人に対する大きな無礼とされています。そのため、墓じまいの際には必ず閉眼供養を行い、墓石から魂を抜いてから撤去工事に入るのが正式な手順です。
開眼供養との違い
| 項目 | 開眼供養(魂入れ) | 閉眼供養(魂抜き) |
|---|---|---|
| 目的 | 墓石に魂を込める | 墓石から魂を抜く |
| 実施タイミング | お墓を新しく建てた時 | 墓じまい・墓石撤去の前 |
| 別名 | 魂入れ、お性根入れ、入魂式 | 魂抜き、お性根抜き、抜魂式 |
| お布施の相場 | 3万円~5万円 | 3万円~5万円 |
閉眼供養の流れ(5ステップ)
ステップ1:僧侶への依頼(1ヶ月前まで)
閉眼供養を行う僧侶を手配します。菩提寺がある場合は住職に依頼するのが一般的です。希望する日程を伝え、調整しましょう。土日や祝日は予約が取りにくいため、早めの連絡が重要です。
ステップ2:日程の確定と関係者への連絡(2週間前まで)
日程が決まったら、参列する親族に連絡します。また、石材店にも閉眼供養の日程を伝え、その後の撤去工事のスケジュールを調整します。墓地管理者への連絡も忘れずに行いましょう。
ステップ3:準備物の用意(前日まで)
お布施、お花、お線香、ろうそくなど、当日に必要なものを準備します。詳しくは後述のチェックリストを参照してください。
ステップ4:閉眼供養の実施(当日)
当日の一般的な流れは以下のとおりです。
- お墓の清掃(事前に済ませておくのが望ましい)
- お花・お供え物を供える
- 僧侶による読経(15分~30分程度)
- 参列者による焼香
- 僧侶へのお布施の手渡し
閉眼供養自体は30分~1時間程度で終了します。
ステップ5:撤去工事への引き継ぎ
閉眼供養が完了したら、石材店に連絡して墓石の撤去工事に入ります。閉眼供養と同日に撤去作業を開始するケースもあります。
お布施の相場と渡し方
宗派別のお布施相場
| 宗派 | お布施の相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 浄土宗 | 3万円~5万円 | 一般的な相場 |
| 浄土真宗 | 3万円~5万円 | 「遷仏法要」と呼ぶ場合あり |
| 真言宗 | 3万円~5万円 | 一般的な相場 |
| 曹洞宗 | 3万円~5万円 | 一般的な相場 |
| 日蓮宗 | 3万円~5万円 | 一般的な相場 |
| 天台宗 | 3万円~5万円 | 一般的な相場 |
宗派による大きな差はなく、3万円~5万円が一般的な相場です。ただし、地域やお寺との関係性によっても異なりますので、不安な場合は事前にお寺に「お布施はいかほどお包みすればよろしいでしょうか」と確認しても失礼にはあたりません。
お布施の包み方
- 封筒:白無地の封筒、または「御布施」と印刷された不祝儀袋を使用
- 表書き:上段に「御布施」、下段に施主の名前(フルネーム)を記載
- 中袋:金額を漢数字で記載(例:金参萬圓也)
- お札の向き:新札でなくても構わないが、きれいなお札を用意する。肖像画が表面の上側にくるように入れる
お車代・御膳料について
僧侶が墓地まで出向いてくれる場合は、お布施とは別に「お車代」として5,000円~1万円を包みます。また、法要後に会食を行わない場合は「御膳料」として5,000円~1万円を包むこともあります。
| 項目 | 金額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| お布施 | 3万円~5万円 | 閉眼供養の謝礼 |
| お車代 | 5,000円~1万円 | 僧侶が出向く場合 |
| 御膳料 | 5,000円~1万円 | 会食を行わない場合 |
| 合計 | 4万円~7万円 |
当日の準備物チェックリスト
| 準備物 | 備考 |
|---|---|
| お布施(御布施袋に入れて) | 3万円~5万円が相場 |
| お車代 | 5,000円~1万円。別の封筒に入れる |
| 御膳料 | 会食をしない場合のみ |
| お花(一対) | 菊や百合など白系の花が一般的 |
| お線香 | 束で用意する |
| ろうそく | 風よけのあるものが便利 |
| ライター・マッチ | お線香の着火用 |
| お供え物 | 果物や菓子など。故人の好物でも可 |
| 数珠 | 参列者全員分 |
| 掃除道具 | 事前にお墓を清掃する場合 |
| 改葬許可証 | 当日必要になる場合がある |
閉眼供養をしないとどうなる?
法律上、閉眼供養を行わなくても墓じまいの手続き自体は進められます。改葬許可の要件に閉眼供養は含まれていません。
しかし、閉眼供養を行わないことには以下のリスクがあります。
- 親族からの反発:特に年配の親族から「故人に対して失礼だ」と強い反発を受ける可能性がある
- お寺との関係悪化:菩提寺がある場合、閉眼供養なしの墓じまいは関係を著しく悪化させる
- 石材店が作業を拒否する場合も:一部の石材店は、閉眼供養が済んでいない墓石の撤去を引き受けないことがある
- 心理的な後悔:「きちんと供養せずに墓を壊してしまった」という罪悪感を抱えるリスク
費用的にも3万円~5万円程度ですので、特別な事情がない限り閉眼供養は実施することを強くおすすめします。
菩提寺がない場合の対処法
菩提寺がない場合や、お寺との付き合いがない場合でも、閉眼供養を行う方法はいくつかあります。
方法1:僧侶手配サービスを利用する
インターネットで僧侶を手配できるサービスが増えています。「お坊さん便」などのサービスでは、閉眼供養を定額で依頼できます。費用は3万円~5万円程度で、菩提寺に依頼する場合と大きく変わりません。
方法2:墓地管理者に相談する
墓地の管理事務所に相談すると、閉眼供養に対応してくれる僧侶を紹介してもらえることがあります。公営墓地の場合はこの方法が利用しやすいです。
方法3:墓じまい代行業者に手配を依頼する
墓じまい代行業者の中には、閉眼供養の僧侶手配もサービスに含んでいるところがあります。墓石撤去とセットで依頼すると、日程調整もスムーズです。
方法4:神道やキリスト教の場合
閉眼供養は仏教の儀式ですが、神道では「御霊抜き(みたまぬき)」、キリスト教ではそれに相当する祈りの儀式を行います。それぞれの宗教の聖職者に相談しましょう。
よくある質問
Q. 閉眼供養の服装はどうすればよいですか?
A. 正式な法要ほど厳格ではありませんが、黒やグレーなど落ち着いた色の服装が適切です。平服でも問題ありませんが、派手な色やカジュアルすぎる服装は避けましょう。
Q. 閉眼供養に参列すべき人は誰ですか?
A. 必須なのは墓の管理者(祭祀承継者)です。その他の親族は可能であれば参列するのが望ましいですが、遠方の場合は無理に参列する必要はありません。事前に報告しておけば十分です。
Q. 閉眼供養と墓石撤去は同じ日にできますか?
A. はい、可能です。午前中に閉眼供養を行い、午後から撤去工事に入るスケジュールが一般的です。石材店と僧侶の日程を事前に調整しておきましょう。
Q. 雨天の場合、閉眼供養は延期すべきですか?
A. 小雨程度であれば問題なく実施できます。大雨や台風の場合は延期を検討しましょう。延期する場合は、僧侶と石材店に早めに連絡して日程を再調整します。
まとめ
閉眼供養は、墓石から故人の魂を抜く大切な仏教儀式です。法的な義務ではありませんが、親族感情やお寺との関係を考えると、実施しておくべき手順といえます。
お布施の相場は3万円~5万円で、お車代・御膳料を含めても4万円~7万円程度です。菩提寺がない場合でも、僧侶手配サービスや代行業者を通じて手配できますので、安心して準備を進めてください。
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